国による代執行は、地方分権の危機です。
 法定受託事務だからと言って、県が裁定したものを国が県に代わって執行を強行するという乱暴なことをするのであれば、2000年に分権一括法が誕生し、やっと確立できた国と地方の関係性は、それまでの「上下・主従」から「対等・協力」とした地方分権の根幹が骨抜きになったも同じです。

 さらに年明けの通常国会には、地方制度調査会で答申された国の指示権拡大を含む地方自治法改正案が提出される可能性が高く、これが成立してしまうと、地域住民の暮らしを守る存在である地方自治の権限は剥奪され、気づけば国(時の政権)が決めたことは否応なしに実行しなければならなくなり、住民は蔑ろにされかねません。

 沖縄県民の意思としては、住民投票と選挙で辺野古新基地建設に「反対」となっています。それなのに、国は地元の声を聞かず、代執行という強硬手段にでる、異常です。
 沖縄県だけの問題ではありません。国の代執行は、引き続き撤回を求めていきます。

FBの投稿後に、朝日新聞を読んだら同様の懸念が社説に書いてありました。
https://www.asahi.com/articles/DA3S15828115.html

【議事録抜粋】
 時間が限られているため深くまでは追及できませんでしたが、11月27日参議院予算委員会で辺野古新基地建設問題を総理に質疑したので、その議事録を掲載します。
↓ ↓ ↓

○岸まきこ 私は、国と地方の関係が崩れているのではないかということを懸念しています。
 1993年、衆参両院において、地方分権の推進に関する決議が全会一致で可決してから、今年は33年の節目です。岸田総理は93年に初当選された年と聞いていますが、この分権決議により機関委任事務制度が廃止され、法定受託事務、自治事務を問わず自治体は地域における課題を自主的かつ総合的に担うこととされ、地域住民の意思に沿って自治体の事務を総合的に行うことが期待されました。
 岸田総理は、国と地方自治体の関係をどのように捉えているでしょうか。

○岸田文雄内閣総理大臣 国と地方の関係、委員御指摘のように、地方分権に向けて推進の決議が可決された1993年の年に私も国会で初当選を果たしましたが、この地方分権というもの、要するに、地方がそれぞれの創意工夫ですとかそれぞれの発想によって問題解決を行うことによって質の高い行政サービスを結果として実現することができる、このための基盤をつくるものであると考えています。そして、地方分権改革についても、この身近な行政はできる限り地方自治体が担うということを基本にしながら、権限移譲や規制緩和、これを進めてきたものであると考えています。
 今後とも、地方の自主性あるいは自立性、これを高めるためにこの改革を進めていかなければならない、これが国と地方との関係であると認識、考えています。

○岸まきこ 総理から明快な答弁をいただきました。
 今回の補正予算には、普天間飛行場の移設として338億円が計上されています。辺野古新基地建設は軟弱地盤で予算がどんどん積み上げとなっていて、辺野古新基地建設工事の2009年当時の総工事費見積額と現時点での金額、その差額を教えてください。

○青柳肇防衛省整備計画局長 お答えいたします。
 普天間飛行場代替施設建設事業等に係る経費の概略につきましては、いずれもその後の検討によっては変更があり得るということの前提で、平成21年には少なくとも3500億円以上とお示しし、その後、令和元年には、地盤改良工事の追加に伴う施工計画の見直しの結果や当時の工事の状況等を踏まえ約9300億円とお示ししており、その差額は単純に数字の部分だけを計算すれば約5800億円となります。

○岸まきこ 2009年から2019年に2.7倍の9300億円に引き上げ、9300億円と言っているが、進捗率でいえば、1兆を楽々と超えることは今からでも予想できます。
 このお金の問題も非常に問題ではあるんですが、先ほど総理にも答弁いただいた国と地方の関係性、これについて総理に伺います。
 2020年4月21日、防衛省が辺野古新基地建設の公有水面埋立法に基づく設計変更、いわゆる軟弱地盤に71,000本のくいを打ち込む工事を追加申請しました。沖縄県は、2021年11月25日、防衛省からの申請内容では工事や施設の安全性が確認できないことなどを理由として、法律の要件に照らし、申請を不承認としています。その後、県の不承認に対し、防衛省が私人として行政不服審査請求を行い、国土交通大臣が県の不承認を取り消す裁決を行いました。まず、この時点で自治への侵害と言わざるを得ないと私は考えています。
 さらには、本年10月5日、国土交通大臣は、県に代わって強制的に手続を行う代執行のための訴訟を提訴するということにまで行っています。一連の国の姿勢は余りにも強権的で、県の自主性を侵害する代執行は到底許されるものではありません。
 総理は、これは地方自治を否定することにならないでしょうか。代執行なんてしたら、対等とは言えなくなる。言葉だけになりませんか。(発言する者あり)

○末松信介予算委員長 じゃ、まず担当大臣の木原防衛大臣。

○木原稔防衛大臣 御指摘の、これ防衛省から請求したものでございまして、審査請求でございますけれども、防衛省の沖縄防衛局において、これは行政不服審査法という法律にのっとり行ったものであります。
 令和二年の最高裁判決においても、国の機関に対する埋立承認を撤回した知事の処分が行政不服審査の対象となる処分である旨を判示しているというふうに承知をしております。
 世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされるということは絶対に避けなければなりません。これは地元の皆様との共通認識でもございます。(発言する者あり)

○末松信介予算委員長 じゃ、岸田内閣総理大臣。

○岸田文雄内閣総理大臣 まず、手続については、今防衛大臣からありましたように、審査請求についても代執行訴訟についても、これは法律に基づいて手続を進め、そして裁判所において、変更承認申請に関し、承認しない知事の事務処理が違法であり、承認するよう指示した是正の指示が適法である旨の最終判断が示されたものであると認識をしております。このように、手続は法律に基づいて行いました。
 そして、地方自治に反するのではないかという御指摘がありましたが、これ、問われている課題がこれ地方にとってどういった意味があるのか、国との関わりにおいてどう考えるべきなのか、こうした議論はあるかと思いますが、いずれにせよ、この世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされること、これは絶対に避けなければならない、これは地元の皆様との共通認識であると政府としても考えております。
 こうした考え方に基づいて手続を進めていく、法律に基づいて手続を進めていきたいと考えております。

○岸まきこ 岸田政権与党は、国防政策が国家存立事務であるという部分だけを強調し、地方自治体の国防政策への関与を阻害していますが、国防に関連する施設が周辺住民の福祉を損なう可能性は高いんです。だからこそ、自治体が判断したことを国が覆すことに強い懸念を持っています。
 最初に確認したとおり、国と地方の関係は、対等、協力が大前提です。知事が承認しないことが、代執行要件の著しく公益を害する状態ではありません。むしろ、辺野古周辺海域に軟弱な沖積層が広く厚く分布しているといった調査もありまして、県の審査を尊重すべきです。自治体が地域住民の生活への影響を避けるために処分したものを行政不服審査請求で覆すことや、代執行ということをすれば、国が自治体を自由にコントロールできるということになりかねません。
 総理、聞く力があるんですよね。であれば、今大事なのは、所信表明演説で地方こそ日本の宝、底力ですと述べたのであれば、代執行という強硬手段ではなくて、沖縄県知事と時間を掛けて話合いをしてください。時間を取って対話すると言っていただきたい。総理、いかがでしょうか。

○岸田文雄内閣総理大臣 安全保障にも関わる課題についてどのように考えるのかということについて、今申し上げたように、法律に基づいて手続を進めていく、こういった取組を政府として進めているわけですが、その中で対話が重要だということをおっしゃいました。これは、対話が重要、これは全く異存はありません。だからこそ、普天間飛行場負担軽減推進会議があり、本年2月にも、沖縄県、宜野湾市の参加も得て作業部会を開催し、普天間飛行場の一日も早い全面返還と返還までの負担軽減のための具体的方策について意見交換を行っています。
 是非、引き続き、こうした意見交換の場を通じて地方の声も聞きながら、こうしたこの課題について結論を出していきたいと思っています。

○岸まきこ ちゃんと話すべきです。そのことだけ再度言っておきます。